2009年11月10日アーカイブ
医療や介護、コンビニエンスストアなど、昼夜を問わないサービスは拡大する一方ですね。社会が便利になる代償として、深夜から未明にかけて働く人の睡眠不足や慢性的な疲れが課題になっています。そこで、夜勤をこなしながら、健康を保つ工夫をご紹介します。
厚生労働省の調査では、夜勤や不規則な交替勤務につく人は、労働人口の約4分の1を占めるそうです。「人間は本来、心身ともに昼間は活動し、夜は休息する動物。自由に調整できると思うのは間違い」と労働科学研究所慢性疲労研究センター長の佐々木司さんは強調しています。
人間の体には約25時間周期のリズムが備わっていて、体温やホルモンなどが調整されているためです。
一日で最も眠気を感じやすいのは、最も体温が下がる午前2時から3時ごろです。この時間帯に夜勤者は緊張しつつ、眠気を抑えて仕事をすることになります。一方、夜勤後にとる睡眠が、活動に適した体温の高い時間帯にくることで、睡眠時間が短縮して質が悪くなり、疲労が回復しにくくなります。
夜勤者の自由時間は勤務前なので、仕事前に疲れを感じてしまう可能性も高くなります。家族との生活時間のずれによって生活の質が下がる影響も無視できません。
長期にわたる生体リズムのズレは、肥満や高血圧、循環器の病気のリスクが高いことが分かっています。最近では、国際がん研究機関が乳がんや前立線がんの発症に関連する可能性を指摘しています。デンマークでは、元夜勤者のがんを労災認定して話題になりました。
「悪影響を減らすには、個人の努力以上に勤務体制の工夫など、組織的な疲労対策が大事だ」と佐々木さんは話しています。世界的な対策基準として知られているのが、、1982年にドイツのルーテンフランツが提唱した9原則です。まずは、職場ごとに問題点を話し合ってはいかがでしょう。
夜勤編成による疲労対策9原則(ルーテンフランツ原則)
- 夜勤は連続3夜まで
- 夜勤と日勤の交代時刻は早朝を避ける
- 勤務交代時刻は弾力化を
- 夜勤の勤務は短めに
- 次の夜勤まで10時間以上あける
- 少なくとも週末を含む2連休をとる
- 日勤→夜勤より日勤→夕勤の循環がよい
- 勤務が一巡する周期を長くしない
- 夜勤、休日など勤務の配置はなるべく規則的に