2009年12月アーカイブ
年が明ければまもなく受験本番です。昼夜を問わず勉強に追われている受験生には、甘いものでリフレッシュを図っている人もいるかもしれません。
静岡県立大学食品栄養科学部教授の横越英彦さんは「砂糖の入った甘い物は、集中力を高めたり、疲れを癒やしたりするために効果的」と話しています。脳は体の中でも多くのエネルギーを使う場所です。そのエネルギー源はブトウ糖です。不足すると集中力を欠いたり、疲れやすくなったりするため、定期的に補う必要があります。砂糖は食べるとすぐにブトウ糖に分解されるので、ご飯やパンなどの成分でるでんぷん(多糖類)に比べ、素早くエネルギー補給できます。
横越さんによると、空腹時よりも砂糖を摂取したときの方がゲームの成績が良かったり、午前中に一度アメを与えたクラスの方が与えないクラスよりも学習到達度が高かったりといった実験結果があるといいます。受験生の場合、夜に食べることも想定し、胃にもたれない程度に適量の甘いものをとると良いでしょう。
そこで、菓子研究家の小松喜美さんに、受験生にお薦めのおやつを提案してもらいました。
まずは、ユズのさわやかな香りが心地よい「ユズ・ハニー・ジンジャーティー」です。1日ほどハチミツにつけておいた薄切りのユズとシロップ大さじ3杯、すりおろしたショウガ小さじ2分の1杯をカップに入れて、150CCの熱いお湯を注ぐだけです。ショウガには体を温めたり、免疫力を高めたりする効果があるので、受験当日の朝にもぴったりです。
栄養たっぷりで、消化にも良い黒ごまプリンもお薦めです。
「どれも簡単にできるので、たまには受験生自身が気分転換に作っても良いのでは?」と小松さんも話しています。
黒ごまプリン(2個分)
- 耐熱ボウルに水大さじ2杯とゼラチン5グラムを入れ、電子レンジ(600ワット)で20秒加熱する
- 鍋に黒練りごま大さじ2杯、牛乳300CC、きび砂糖30グラムを入れて中火で沸騰直前まで温め、1.を加えて混ぜる
- あら熱がとれたら、カップに分けて冷蔵庫で2時間冷やす
ラジオドラマやゲームの出演を手がけ、一般人向けに声優やナレーターの養成講座も聞く音響監督の荒木潤子さんは「声に若やぎを与えるのは、音質よりも話し方」と話しています。
声優には、年をとっても子どもの声が出せる人もいれば、若くても大人の役が似合う人もいます。発声法を身につければ、実年齢とは関係なく、生まれつきの声質でこなす役の年齢幅が決まるといいます。
ただし、これはプロの話です。一般の方の日常会話では、話し方にある程度のスピードがあり、反応が早く、語尾まで力が入っていると若く聞こえます。
「ちゃんと声を出そう、きちんと声が前に届くようにしよう、言葉一つ一つを相手に届けようと意識するだけで変わります」と荒木さんもアドバイスしています。
声の表情が豊かな人は、声の表情も豊かです。笑顔で話すだけで声は若返ります。年をとると滑舌が悪くなりがちですが、詰まった時に言い直すだけでも改善します。
自分の声を録音して聞いてみることも大切です。話す速度を変えたり、声の高さを変えたりして録音し、他人に伝わりやすい話し方を探ります。
日ごろ、自分で聞くには、頭骨の振動を通して聞くので、実際の声よりもよく響きます。このため、録音した声を聞くと「こんなはずじゃなかった」という人が多いのです。ですが、録音した声を聞き、自分自身で改善策を考えて実行すると、声の印象は大きく変わってくるといいます。
最後に、たくさんの人と話すことです。すてきな話し方をする人と出会ったら、声の出し方、間合いの取り方などを取り入れてみてください。「相手に楽しんで欲しいと思えば、自然に声は明るくなる。気持ちの持ち方と自己研さんで誰でも声美人になれると思うのです」と荒木さんも話しています。
「若やいだ声」で話すための6か条
- 言葉の一つ一つを相手に届けようと意識する
- 語尾の力を抜かない
- 言葉に詰まった時は、言い直してみる
- 表情豊かに、笑顔で話す
- 自分の声を録音でチェックし、話し方を変えてみる
- たくさんの人と話し、ほかの人の「すきな話し方」をまねてみる
新型インフルエンザの流行で、手荒れに悩む人が増えています。頻繁な手洗いやアルコール消毒による肌の乾燥が原因です。皮膚科医の野村有子さんは「例年、夏場の手荒れは、主婦や美容師など水仕事をする人に目立ちますが、今年は年齢、職業を問わず多くみられました」と話しています。
本格的な冬を迎え、肌荒れへの不安は募ります。皮膚が荒れると雑菌も繁殖しやすくなりますので、肌に優しい手洗いの方法をご紹介します。
まず、ぬるま湯を使い、強くこすらずに洗うのが基本です。指の間や爪の周りも丁寧に洗ってください。ハンドドライヤーは、指先を乾燥させがちなので、清潔なタオルで押さえるようにふくとよいでしょう。
また、手洗いのたびひ、こまめにハンドクリームを塗ることをおすすめします。マッサージで血行を促せば、さらに保湿効果がアップします。
ユースキン製薬の高島俊継さんによると、ハンドマッサージの方法は、まず、クリームをたっぷりと手の甲に載せます。次に、手の甲同士をすり合わせて広げたあと、手のひらと甲をすり合わせて、クリームを満遍なく伸ばします。さらに、指を一本ずつ軽く握って引っ張り、指のわきにも塗ります。
ハンドマッサージの方法
滑りが悪くなったら、クリームを追加します。爪の周りにも塗り、爪の横と生え際を親指と人さし指で軽くつまんで押します。
意外に乾燥しやすいのが、指のまたです。両手の指を組んで、クリームを塗りながら刺激するとよいでしょう。親指の付け根は凝りやすいので、指圧してほぐします。仕上げに、手首からひじにかけて、数回往復してさすります。
指先やひじなど、角質化して硬くなっている部分には尿素入り、あかぎれには血行を促すビタミン入りなど、症状に合ったクリームを選ぶことも大切です。
ダイエットに励んだら、体重は落ちたけれど、肌がカサカサになってしまった。そんな話を耳にしたことはありませんか。
管理栄養士の葭谷(よしや)さんは「人の体はすべて食物からできているのですから、栄養が不足すれば、肌の潤いも失われてしまいます」と話しています。
水分を含んだ健康な肌を作るには、まず、細胞の主な材料となるたんぱく質が必要です。資質は、肥満や生活習慣病の原因として敬遠されがちですが、肌を乾燥から守る皮脂や細胞間脂質の元になります。
ビタミン類にも、大きな役割があります。Aは肌を丈夫にし、B群は皮膚や粘膜の炎症を抑えます。Cはコラーゲンを生成し、Dは血行促進の作用を持っています。いずれにしても、新陳代謝を活発にして肌の再生を促します。葭谷さんは「水溶性のB群とCは、時間がたつと尿とともに排出されてしまうので、こまめに取りましょう。脂溶性のAやEは、油を使って調理すると、効率よく吸収できます」とアドバイスしています。
乾燥肌対策として、注目されるのが、薬膳です。発祥は中国で、治療や健康作りのため、古来、受け継がれてきた食事療法です。長い歴史の間に蓄積された知識や経験が生かされています。
葭谷さんが、乾燥肌に勧めるのが、豆腐やトマト、レンコンなどの「生津(しょうしん)」です。体の表面の乾燥を防ぐ働きがあります。山芋や黒豆、ホタテなどは、体の内側から水分を補う「補陰(ほいん)」、春菊や柿など、肺を潤す「潤肺(じゅんぱい)」、カボチャ、サバなど、新陳代謝を高める「補気(ほき)」も、肌を潤す効果があります。
薬膳の食材には、たんぱく質やビタミン類が豊富で、栄養学的にも乾燥肌への効果が期待できるものが多いのです。栄養学と薬膳を日々の食生活に上手に取り入れて、肌には厳しい冬を乗り切りましょう。
乾燥肌によい薬膳の主な食材
生津…キュウリ、トウガン、リンゴ、ウメ
補陰…豆乳、ホウレンソウ、アサリ、豚肉
潤肺…黒キクラゲ、イチジク、ピーナツ、チーズ
補気…シイタケ、ニンジン、イワシ、鶏肉
冬は血圧が上がりやすい季節です。寒さで血管が収縮し、血液を流す強い力が必要になるためです。ただでさえ血液が流れにくくなっている高血圧の人は、血管が破れたり詰まったりして脳卒中や心筋梗塞を起こしやすくなります。
2006年の厚生労働省の推計では、国内の高血圧患者は約3970万人で、血圧が高めの〝患者予備軍〟は約1520万人に上ります。
高血圧の原因の一つが塩分の多い食事です。日本人の成人一日あたりの食塩摂取量は平均10.9グラムです。厚労賞は10年までに男性は10グラム、女性は8グラム未満に抑えることを目標としていますが、これは健康な人の話です。高血圧患者は6グラム未満となります。
医学博士で管理栄養士の本多さんは「気づかずにとってしまう塩分も大きな問題です」と指摘しています。
寒い季節は温かい麺類がおいしいですが、汁を飲み干すのは禁物です。ラーメンだと7~8グラムの塩分をとってしまいます。うんどやそばも4~5グラムになります。麺自体にも塩分が含まれるため、麺類はせいぜい週1~2回におさえましょう。
パンにも塩分があります。食パン1枚(6枚切り)の塩分は約0.8グラムです。マーガリンやバターを塗ると1グラムを超え、低塩の梅干1個と同じくらいになります。減塩には米飯を主食にするのが近道ですが、漬物など「ご飯の友」は控える必要があります。
逆に摂取を心がけたいのが、カリウムです。野菜や果物、海藻類に多く含まれるミネラルの一種で、血圧を上げる塩分中のナトリウムを体外に排出するのを助けます。冬野菜では、ホウレンソウや白菜、小松菜などに多く含まれています。
血圧が高めの方に!カルピスのアミールS |
また、手軽にカリウムをとれるのが果物です。本多さんは「1日200グラムを目標に」とアドバイスしていますが、目安としては、リンゴ半分とミカン1~2個を合わせた量となります。
上手な減塩ポイント
レモン、すだち、カボスなどの果汁や酢を料理にいかすと、しっかりした味わいに
ネギやショウガ、しそ、ミョウガなど香りがある野菜を使うと、薄味でもおいしく
油で肉や魚をソテーしたり、揚げたりすると香ばしさが加わり、コクのある味わいに
骨盤のくぼみと大腿骨の先端をつなぐ股関節は、40~50歳代になると、骨が変形し、痛みを感じるようになることがあります。骨の変形が進むと、手術が必要なることもあるのです。
股関節の痛みなどに詳しい吉田整形外科の吉田院長は「症状を知って早めに発見し、悪化を抑えることが大切」と話しています。
吉田さんによると、早期発見には、股関節の異常の兆候をとらえる必要があるといいます。股関節は通常、骨盤のくぼみと大腿骨の先端にある軟骨がクッションになっていて、体重のかかり方が悪くても、初めは痛みを感じないことが多いようです。
しかし、加齢で軟骨や股関節周辺の筋肉が弱くなり、軟骨がすり減ってくると、股関節に鈍い痛みが生じます。長時間歩いた後や運動後に股関節の周辺が重たい、だるい、といった症状が出たら異常の兆候です。股関節周辺の筋肉に負担がかかるため、尻や太ももなどにじわっとした痛みを感じることもあります。
休息をとることで痛みがとれても、しばらくしてまた痛むなど、症状に波があるのも特徴です。軟骨のすり減りや骨の変形が進むと、痛みで股関節を動かしにくくなり、靴下やストッキングをはきづらい、足の爪が切りにくいなど日常の生活に影響が出てきます。
吉田さんは「痛みが長く続くか、強かったら、医師にみせて」と言っています。
股関節の骨の形を診察してもらう機会は、小児期に骨の不具合が見つかった場合などを除き、一般的に少ないようです。診察により、自分の骨の形を把握することができ、痛みが股関節の形の不具合によるものかがわかります。
股関節は、実は体重の影響を受けやすいのです。日頃から太り過ぎないように注意することが大切です。初期の変形性股関節症と診断されたら、長時間歩き続けたり、重い荷物を持ったりすることは、なるべく避けるようにしてください。
体重の管理や筋肉を鍛えることによって、股関節の働きを長持ちさせましょう。
股関節異常の兆候
- ひざや足首、腰などが痛い
- 立ち上がる時や座る時、階段を上り下りする時に股関節周辺に痛みを感じる
- 足を引きずったり、体が揺れたりする感覚があり、体の左右のバランスが悪い
- あぐらをかきづらい
- 足が開きにくい