2010年3月11日アーカイブ
まもなく暖かな春です。自動車で行楽地などに遠出する機会も増えるのではないでしょうか。しかし、年をとってくると、どうしてもハンドルさばきも鈍ってきます。そこで、安全運転をするための注意点と心身のトレーニングをご紹介します。
交通事故総合分析センターによると、65歳以上が運転する自動車が原因となった交通事故の死者数は、増加傾向にあるそうです。2001年は2万9208人だったのが、06年には1万人増の3万9018人でした。交通事故全体の死傷者数が減少しつつあるなか、なぜ高齢者の事故は多いのでしょうか。
東京海上日動リスクコンサルティング主席研究員の北村憲康さんは「老化で視覚・聴覚といった身体能力や、安全運転を行うための運動能力などの必要な能力が落ちる」と解説しています。順法精神や感情を抑制する力なども弱まってくるそうです。
現在の65歳以上の免許保有人口は約1100万人で、全体の14%となります。しかし、これからは人口の多い40~64歳世代が高齢化し、事故はさらに増える危険性が高いといわれています。
北村さんは、高齢者や周囲の家族が本人の身体能力や順法精神などを診断できる30問のチェックシートを作り、著書「安全運転寿命」で紹介しています。交通事故の原因を調べてきた経験を反映させてものです。
設問すべてにあてはまると、計25点になります。北村さんは、安全運転を維持できる年齢の上限を日本の平均寿命などから、75歳に設定しています。75からあてはまった点数を引くと、その値が自分が安全運転できる年齢を示します。たとえば25点なら、その年齢は50歳となるわけです。
名付けて「安全運転年齢寿命」です。北村さんは「実年齢よりも低い数字が出る場合もあるが、自分の状態をチェックする目安として利用してほしい」と話しています。
安全運転寿命チェックリスト(抜粋)
- 車庫入れが苦手である…0.5点
- 最近になって視力の顕著な衰えを感じる…1点
- 最近、よく転んだり、つまずいたりする…1点
- 並走、あるいは前方の車の割り込みに気づくのが遅い…1点
- 自分自身の運転はうまいと思っている…0.5点
- 黄色信号で停止することはあまりない…1.5点
- 同時に複数のことを要求されると特に焦る…1.5点