2010年3月16日アーカイブ
進学・進級など、春は、子どもの生活環境が一変することの多い季節です。新生活になじめず、悩む子どもも少なくありません。
「子どものうつ病ってなあに?」の著書もある東京都精神医学総合研究所の猪子(いのこ)香代副参事研究員は「10代のうつは決して珍しくない」と強調します。例えば、希望の学校に進学したものの、人間関係などに悩む中学生などのケースです。
日本と比べて実態解明が進むアメリカの調査では「10代の3~8%がうつ」と指摘されています。猪子研究員は「絶望から自殺を考える子もいる。早めの治療が必要」と警鐘を鳴らしています。
子どもがうつ病かどうかの目安は、アメリカ精神医学会の診断マニュアル(下記の表参照)にある九つの症状が参考になります。特に注意したいのが、1.一日の大半を泣いていたり、「へこんでいる」などと訴えるなどして、うつ気分が続いている 2.自分の好きな趣味を含めて、何をしても楽しくない―の二つです。少なくともこの二つのいずれかを含めて5項目が2週間以上続く場合、うつ病の可能性があります。この目安にあてはまらくても、1か2の状態が2週間以上続く時は注意が必要です。
うつ病は、性格や生活環境など、複合的な要因が複雑に関係しあって発症すると考えられています。特に進学、進級、転校、引っ越し、いじめを体験した時などは注意が必要です。ただし、子どもが憂うつそうにしているからといって、過度に不安になることはありません。「大切なことは、子どものうつ病を知っておくこと」と猪子研究員は話しています。
子どものうつ病が疑われる症状
- うつ気分が続く
- 何をしても楽しくない
- 急に体重が増減した
- 眠れない、または眠りすぎる
- じっとしていられない、または動けない
- 疲れやすい
- 自分をダメな子、悪い子だと思う
- 集中力がない
- 死ぬことを考えている