2010年3月29日アーカイブ
「プロバイオティクス」という言葉を聞いたことがありますか?「健康のため」を意味するギリシャ語に由来し、人間に利益をもたらす「善玉菌」を指しています。その代表が、腸内に棲み付く「乳酸菌」です。
ビフィズス菌やラクトバシラスなどの細菌は、人間が食べた食事の残りカスを分解して乳酸を作るので、乳酸菌と総称されます。腸内細菌の1割ほどを占めるとされています。
杏林大医学部感染症学教授の神谷茂さんによると、激しい下痢を引き起こす腸管出血性大腸菌O(オー)157などは中性の環境を好むそうで、乳酸菌は腸内を酸性にすることで、外界から侵入してくる病原菌を居づらくしてくれます。
乳酸菌はほかにも、便を送り出す腸の収縮運動【蠕動(ぜんどう)運動】を活発にして便秘や下痢を防ぐなど、腸の働きを整えてくれます。
乳酸菌をヨーグルトなどに加えて食べて、腸内に菌を増やせば健康に役立つはずです。そんな考えから「乳酸菌入り」などとなずけられた様々な食品、飲み物が売られています。
有効性を示す研究結果もあります。ロタウイルスが原因の下痢はよく見られますが、症状が出た直後から乳酸菌を含む食物を食べた人の下痢が続いた期間は、1.4日で、乳酸菌を取らなかった人より1日早く治りました。
開発途上国へ旅行する日本人の2~5割は細菌やウイルスによる感染性下痢になりますが、旅行中、乳酸菌を含む食品や薬剤などを毎日服用した場合、何も取らないより、下痢になる割合が減ったそうです。
外から取り入れる細菌は腸内に棲み付かず、排泄されてしまうので、毎日、食べる必要があります。その量は、商品により異なりますが、乳酸菌入りヨーグルトなどは100グラム以上が目安となります。空腹時に食べると菌が胃酸で殺されてしまうので、食後のほうが効果的です。