2010年10月アーカイブ
かつて受験用語で「4当5落」という言葉がありました。睡眠時間を4時間に削れば合格し、5時間なら不合格という意味です。
ですが、この考えは間違いだといいます。睡眠は疲れた脳を休め集中力を回復させ、勉強した内容を脳に記憶し、生理整頓して応用力を培う働きがあるからです。
NPO法人「学習カウンセリング協会」が浪人生57人を対象に行ったアンケート調査では、十分な睡眠がとれていないと考えられるのは49人(86%)にのぼりました。調査をまとめた本郷赤門前クリニック院長の吉田たかよしさんによると、睡眠不足のサインは応用問題での行き詰まりだそうです。数学では、公式の丸暗記で対応できる問題は難なく解けても、どの公式を使って解くかから考える応用問題が解けなくなります。
心身の調子を崩した受験生を診察する吉田さんが、まず全員に勧めるのが、昼食後の短時間の昼寝です。集中力や思考力をつかさどる脳の「前頭葉」の働きを回復し、午後から勉強がはかどるからです。
紅茶やコーヒーが含むカフェインは、体内に吸収されてから20分ほどで、脳の働きを高める効果が出てきます。飲んでから寝ると、すっきりとした目覚めが期待できます。眠れなくても、目を閉じて光の刺激を遮断するだけで効果があります。
睡眠時間が短いと、食欲を抑えるホルモンの分泌が減り、脂っこい甘い食べ物を欲するホルモンが増えてしまうので、太りやすくなってしまいます。そこで、夜食でお勧めなのが、野菜たっぷりのおじや、バナナヨーグルト、サツマイモとリンゴの重ね煮などです。下記も参考にしてください。
●受験生の夜食の例
野菜おじや
ごはん(茶わん1/2杯)、季節の野菜(ハクサイやニンジン、サトイモ、キノコ類など適量)をだし汁で好みの味に調え、卵(1/2個)でとじる。
バナナヨーグルト
バナナ(半分)とプレーンヨーグルト(70g)をあえる。甘みが足りなければ砂糖と加える。
●合格昼寝のポイント
- 時間は短く(目安は15~20分)
- 昼食後午後二時までに
- 寝る前に紅茶や緑茶、コーヒーを飲む
- 眠れない場合は目を閉じるだけでもよい
スポーツの秋を迎え、気をつけたいのが、運動中のけがです。
けがの代表格は、ねん座と肉離れです。まず、滑ったり、着地したりした際に、足首をひねって、じん帯を損傷するのがねん座です。痛み、はれ、熱などの症状が出ます。肉離れは、ダッシュやジャンプをした時、筋肉の一部が損傷します。太ももやふくらはぎで起きることが多く、ねん座と同様の症状を伴います。
いずれも、直後に適切な処置を怠れば、治りが遅くなったり、重症化したりする恐れもあります。そこで、杏林大の整形外科医、林光俊さんが応急措置としてすすめるのが、RICEです。Rは「Rest(局所の安静)」、Iは「Icing(冷やす)」、Cは「Compression(圧迫)」、Eは「Elevation(患部を高く上げる)」の頭文字からとりました。
例えば、ねん座をした場合は、患者を寝かし、タオルなどで足首を高くします。安静にした状態を保ちながら、氷を入れたビニール袋で患部を冷やし、ラップで圧迫します。冷やす時間は15~20分です。痛みがひどい場合は専門医に診てもらいましょう。こうした処置は現場で必ずしも浸透していないようで、林さんは「指導者もぜひ覚えてほしい」と話しています。
最後に参考サイトをご紹介します。医療器具メーカー「日本シグマックス」が運営する「スポーツER」です。
アクセスはこちら ⇒ スポーツER
運動会でリレーと並んで人気のある競技が綱引きです。「腕で力任せに引くのではなく、綱に全体重を乗せて後ろに倒れ込むようにして引くのが極意」と語るのは、日本綱引連盟アドバイザーで金沢大教授の山本博男さんです。
長身の人や体重の重い人の順に前から並び、間隔は1m程度がいいそうです。綱を持ったら片方のわきでしっかりと挟みます。両足は肩幅くらいに開き、片方の足を後ろに引きます。
「用意」の合図で背筋を伸ばして腰を落とします。スタートの号令とともに後ろの足を前の足の位置まで戻し、綱に体重を預けて両足で地面を踏みつけると、力もそれほど入れずに面白いように引けるといいます。視線を空に向けることで自然と後傾姿勢になり、体重を十分に利用できます。
これらのポイントを仲間に説明するだけで「相手が同じ戦法を取らない限りまず負けることはない」と山本さんは話しています。
綱引きは、太ももの裏側の筋肉など下半身を鍛えられるだけでなく、後ろ向きの動作が体のバランス感覚を養います。山本さんの研究では、加齢に伴って普通の歩行より後ろ歩きの方が先にできなくなることが分かっています。山本さんは「綱引きは老化防止にも役立つかもしれませんよ」と話しています。
綱引きのフォーム
- 体を正面に向ける
- 綱の左右どちらにたつのかは、自分が最も引きやすい位置で
- 全員で「イチ、ニ、サン」と声を出す
年を重ねると、後ろ姿の変化が気になります。「ワコール人間科学研究所」は、45年間にわたる日本人女性の体の計測結果から、加齢の伴う体型変化の法則をまとめました。
若い時に半円形のお尻は、1.下部がわたむ 2.頂点(一番盛り上がっている部分)が下がる。ウエスト周辺のメリハリがなくなり、四角い形に 3.両側のボリュームが落ち、内側に流れる―と変わります。つまり、お尻が下がり、ウエスト部分が太くなるというわけです。
同研究所研究員の上家倫子さんは「変化が始まる年令やスピードには個人差がある」と話します。体型変化が小さい人は、「できるだけ階段を使う」など、暮らしの中で意識的に体を動かしているいる人が多いようです。規則正しい食事を心がけ、体型にあった下着を着ける人も目立ったといいます。
日本橋学館大教授(運動生理学)の芳賀脩光さんは、「お尻の大臀筋(だいでんきん)や、ハムストリングスと呼ばれる太ももの裏側の筋肉群には、最も早く老化が表れる」と言います。
ヒップアップに効く運動は、腰上げとひざを屈伸するスクワットです。お尻に力を入れ、鍛えている筋肉を意識して、3~5秒かけてゆっくりと動きます。スクワットは軽く息を吸いながらひざを曲げ、吐きながら伸ばします。ひざが痛い人は浅く曲げます。それぞれ10回を目標に、軽い疲れが残る程度まで1週間に3日は行うことをお勧めします。やはり、地道な努力を行うことが大事です。
腰上げ・・・床に寝て、ひざを曲げ、肛門をしめながら腰を持ち上げる
スクワット・・・足を肩幅に開き、お尻をぐっと突き出すようにひざを曲げる
また、筋肉を鍛える手軽な方法として、おなかをへこませる状態を続ける「ドローイン」という運動があります。「ドローン」については、こちらをご覧ください。
子どものおねしょで悩む親は意外に多いようです。そこで、おねしょ対策をご紹介します。
副都心こどもクリック院長の赤司俊二さんは、「共働きで子どもに十分接してあげられない。だから治らないいんです」と、相談されることが少なくないそうです。ですが、「親の育て方や子どもの性格とは関係ありません。ほとんどは排尿の仕組みの発達がゆっくりなだけです」と説明しています。
おねしょは、夜に作られる尿の量と膀胱(ぼうこう)のバランスがとれていないために起こります。
赤ちゃんの尿はいつも薄いのですが、幼児期になると、夜間に尿を濃くする「抗利尿ホルモン」が分泌され、時間あたりの夜の尿量は昼間の半分になります。この分泌が悪いと、夜でもたくさんの尿が作られ、あふれていまいます。
夜の尿量が減っても、膀胱の機能が整わないとおねしょになります。尿をためる力が弱く、日中もトイレが近いタイプと、昼間は問題ないのに、夜、十分ためられないタイプがあります。膀胱は自律神経の働きで、夜には昼間の1.5~2倍の量をためられるようになるのですが、これがうまく働いていないことがあります。
おねしょ対処の3原則は「起さず、あせらず、しからず」です。
無理に夜中にトイレに起こすと、尿の量を減らす「抗利尿ホルモン」の分泌が減り、さらにおねしょがひどくなることがあります。しかる、あせるなど、子どもへの心理的圧迫も逆効果です。
また、水の飲み過ぎや、冷えでもおねしょは起こります。日常生活でこのようなことを意識していると、治りも早くなるようです。赤司さんは「幼児期のおねしょはまったく問題ない。小学1年の夏を過ぎて本人も気になるようだったら医療機関を受診してみて」と話しています。
「健康的に油を取りたい」という消費者ニーズに応える商品として、「特定健康食品(トクホ)」の食用油が注目されています。
トクホは、健康を保持する機能を持つ成分を含んだ食品で、名乗るには消費庁の許可が必要です。現在、流通しているのは、体に脂肪がつきにくい「ヘルシーリセッタ」(日清オイリオ)と、コレステロールを下げる「ヘルシーコレステ」(同)、「AJINOMOTO健康サララ」(J-オイルミルズ)の3商品です。通常の食用油に比べ、価格は倍程度します。
日清オイリオによると、「ヘリシーリセッタ」に含まれる「中鎖脂肪酸」という成分は、短時間でエネルギーに変わりやすいのが特徴です。やや太めの人が1日14グラム摂取し続けたところ、同量のサラダ油を取った人に比べ、3か月後の体重減少量が1キログラム程度多くなりました。「ヘルシーコレステ」と「健康サララ」は、「植物コレステロール」という成分が体内でコレステロールの吸収を抑え、血中のコレステロールを下げる機能があります。
ただし、過信は禁物です。トクホは薬ではなく、あくまで食品です。「ダイエットに使う消費者もいる」(J-オイルミルズ広報)といいますが、他の食用油と同様、1グラムで9キロカロリーあるので、取り過ぎは肥満につながります。過信せずに、健康について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょう。