2011年4月10日アーカイブ
東日本大震災から明日で一ヶ月です。長引く避難生活で被災者がビタミンなどの必要な栄養を取れない恐れが出てきました。支援に携わる栄養士たちは「一刻も早い対策が必要」と訴えています。
日本栄養士会は、先月13日に緊急対策本部を発足させ、被災地支援ができる栄養士を全国から募りました。第一弾として、宮城県気仙沼に派遣されていた専務理事の迫和子さんは「まだおむすびとパンといった炭水化物しか届かない避難所もある」と現状を話します。
阪神大震災時には、1週間程度で、周辺から弁当などが届いたといいます。ですが、今回は「被災地が広く、避難所が点在して、物流も途絶えている。救援物資のご飯とパンだけの災害初期の食事がこんなに続くのは想定外」と話しています。
同会会長で、対策本部長も努める中村丁次さんは、「炭水化物をエネルギーに変えるには、ビタミンB群が欠かせないが、体には数週間しか蓄積できない。肉や野菜などが届かない所では、すでに欠乏に陥っている可能性がある」と心配しています。
ビタミンだけでなく、たんぱく質不足が続けば、筋力が落ちます。管理栄養士で同志社女子大教授の小松龍史さんは「体重の減少や体がだるいなど不調が表れている人は、ビタミンやたんぱく質、ミネラルなどの栄養が欠乏している可能性がある」と注意を促しています。
特に糖尿病や腎臓病など食事療法が必要な持病がある場合は管理栄養士のアドバイスを受けたいところです。中村さんによると、減塩しょうゆなどの「病者用食品」が手に入らないか、医療機関などに聞いてみるのも手だといいます。糖尿病の人は、少しずつ食べたり、おかずとご飯を一緒に食べたりすれば、血糖値の急上昇を防げるでしょう。塩分制限がある腎臓病の人はみそ汁の量を少なめにしましょう。