美健伝道師: 2010年8月アーカイブ
体によいとされる食物はたくさんありますが、その効果もきちんとかんで消化してこそです。ですが、しっかりとかむことができない人が意外と多いそうです。「咀嚼(そしゃく)は、歯のほかに、あごの関節や筋肉、舌、神経などがかかわり合う、とても複雑な運動。どれに問題が起きても、きちんとかめなくなる」と日本顎咬合(がくこうごう)学会常任理事の上濱正(うえはまあきら)さんが解説しています。
歯がすり減ったり欠けたりしても、慣れると違和感を感じなくなります。しかし、無理なかみ合わせで食べ続けると周囲の健康な歯に負担がかかってもろくなったり、あごの関節がずれたりするなど、さらに大きな問題を引き起こす心配があるのです。
自己チェックで、かみ合わせの異常を早期発見するために同学会が開発したのが「咬合スコア」です。最近1ヶ月間について、六つの項目(下記参照)に対し、答えが「ほとんどない」なら0点、「少しある」なら3点、「ある」なら5点を足します。合計が6~8点の場合、かみ合わせに異常がある可能性があり、9点以上なら、大きな問題があると考えられます。
6点以上でも必ず治療が必要とは限りませんが、専門家に看てもらうことをすすめします。同学会のサイトも参考にしてみてください。
⇒ 日本顎咬合学会
かみ合わせチェック
最近1ヶ月間について
- かみ合わせの位置が定まらないと感じる
- 口が思うように開かなかったり、あごがスムーズに動かない
- かみ合わせの高さに不満を感じる
- 自分の歯並びが気になる
- 歯ぎしりや歯を強くかみしめる癖がある
- 左右どちらか一方でかむ癖がある
また、かむ回数を増やしてあごを丈夫にするには、下記の日本食がおすすめです。「まごわやさしい」と覚えましょう。
ま・・・豆類・豆製品
ご・・・ゴマ
わ・・・ワカメ・昆布などの海藻類
や・・・野菜類
さ・・・魚・イカ・貝などの魚介類
し・・・シイタケなどのキノコ類
い・・・イモ類
体幹の筋肉の多くは体の奥にあります。普段はあまり使わないものも少なくありませんが、眠っていた筋肉を動かすことで、ダイエット効果も見込めます。
約10年前から体幹トレーニングの指導を手がける東邦大非常勤講師の福田史子さんは、「運動を同じ時間やっても、体幹の筋肉を動かした方が消費カロリーが増え、ダイエットには効果的」と話しています。
福田さんが手軽にできる運動として勧めるのが、体をゆっくり動かす運動です。体幹の筋肉を柔らかくほぐすほか、普段動かさない筋肉も振動でだんだん動きやすくなります。
たとえば、うつ伏せで行う運動です。両ひざを90度に曲げた状態で、それえた両足を左右交互に倒します。その際、両手は組んで、その上に顔を乗せます。
次に、四つんばいになり、体全体が円を描くように回します。これができたら、今度は四つんばいのまま、体を前に突き出したり、尻をかかと近くまで引いたりする前後の動きを加えます。これら三つの運動をセットでやってみましょう。
あおむけになって腕や足、腰をゆらゆらと動かすなど、自分に合った運動も効果的です。こうした「ゆらし運動」を続けると、動かせない筋肉も少しずつ動かせるようになります。福田さんは「3か月ほど続けると、姿勢がよくなり、見た目もいっそう美しくなる」と話しています。
ダイエット効果が期待できる運動
VDT(ビジュアル・ディスプレー・ターミナル、画像表示端末)症候群とは、長時間同じ姿勢でパソコン画面を見ながら作業することで起こる目の疲れや肩こり、首の痛みなどの症状を表す総称です。
対策として、ストレッチも有効です。そこで、企業向けに健康管理セミナーなどを開いている「コナミスポーツ&ライフ」ライセンス事業部マネジャーで、理学療法士の遠藤敏さんに、机周りでできるマッサージやストレッチを教えてもらいました。
まず、多くの人が疲れを感じる目についてです。手のひらをさすって温めた両手を両目に軽く当て、目を閉じたまま眼球をゆっくりと1~2回まわします。さらに、指の腹で目頭と目尻のきわ、まゆの両端、目の下などを押します。
目の筋肉をほぐし、血行を改善することが狙いです。20~30分に1回程度取り入れるのが理想的です。目を冷やすと爽快感がありますが、逆に筋肉を硬直させることになってしまうので、あまりおすすめはできません。
身体の疲れやこりは1時間に1回15分ほどの休憩をとり、体を動かすことで解消しましょう。イスに座ったまま上半身を伸ばしたり、ひねったり、首を前後左右に倒したりします。ノートパソコンの利用者は無意識のうちに画面をのぞき込むような姿勢をとっているケースが多く、背中に疲れがたまりやすいので、肩を上下に動かしたり、手を肩に添えて、肩を回したりすると良いでしょう。これらの運動は、息を止めずに10~20秒かけてゆっくりと行うと効果的です。
遠藤さんは「疲れをためたままでは効率は上がらない。ストレッチも仕事と考え、取り入れて」と話しています。
ウオーキングや登山に出かける時など、ひざや足首にテーピングをすると、関節を安定させて、けがや痛みを予防するのに役立ちます。
ひざは、太ももの筋肉に支えられています。ですが、中高年になって筋肉が衰えると、ひざへの負担が大きくなります。軟骨がすり減る「変形性ひざ関節症」になることもあり、ひざに痛みが出たり不安定になったりします。また、足首を支える筋肉が弱くなると、つまずいた拍子などにひねってしまい、ねん挫を起しやすくなります。
帝京平成大講師の倉持梨恵子さん(スポーツ医学)は、「テーピングは、ギプスなどの固定と違い、正常な関節の動きをできるだけ妨げないように巻くのがポイント」と説明しています。
ひざにテーピングを巻く時は、ひざの皿にテープがかからないようにし、足首は何重にもぐるぐる巻いてがっち固めないようにします。
巻き方は下記に示しましたが、あらかじめテープに切り込みが入っていて、簡単に巻けるタイプも市販されています。
ただ、テーピングはあくまで、筋肉や関節を支える補助的手段に過ぎません。倉持さんも「テーピングで支えるということは、その分、筋肉を使わないということ。ふだんから、太ももや足首の筋肉を伸ばすストレッチやトレーニングも忘れないでほしい」と話しています。
足首の関節を安定させるテーピング
- かかとをテープの真ん中に乗せる
- テープの両端を引っ張り、左右のくるぶしの上まで張る
- 別のテープを少し前にずらして、かかとに張り、足首の前で交差させる
ひざの関節を安定させるテーピング
- テープの両端に切り込みを入れる
- ひざの裏からテープを張る
- 切り込みを入れた部分で、ひざの皿を包むように巻く