ジャパネットたかた流マーケティング

ジャパネットたかたの高田明社長は、約3年間のサラリーマン生活の後、長崎県の実家で家業の写真店を手伝っておりました。

観光客の写真を撮って売る仕事が中心だったそうです。ホテルの宴会場などで夜に写真を撮って、夜中に現像し、朝並べて買ってもらうというよくあるビジネスモデルです。

たくさん売って、しかも余らないようにしないと利益が出ません。そこで、何枚ぐらい現像すればよいか手探りでやっているうちに、この県の人は気前がいいとか、あの県は渋いとか、どういう職業の人にどういう傾向があるかとか自然に頭に入ってきたそうです。

このときのマーケティングの経験が現在も非常に役立っているということです。

メディアを利用した通販のきっかけは、地元ラジオ局でリポーターが商店街などを回り、店主が自らの店の宣伝をするというコーナーでした。

この時、19,800円のビデオカメラが50台売れたそうです。この5分しゃべって100万円という経験がのちのジャパネットたかたへとつながります。このころ小さい店舗の売り上げは月300万ということなので、メディアの力はいかにすごいか分かると思います。

全国にネットワークを広げ、売り上げが10億円くらいになるまで、閉店後、自宅に転送された電話を奥さんがひとりで処理していたそうです。夜9時くらいまで、3人の子どもの夕飯はおあずけとなっていました。今のジャパネットたかたがあるのは、こんな家族の協力があったからといっても過言ではありません。

高田社長のあの高い声としゃべり方はとくに意識しているわけではなく、伝えたいと思う気持ちで自然にでてくるものだそうです。今ではしっかり社員に受け継がれていますね。

また、商品の鮮度を重視するために、通販番組のほとんどを制作会社任せにせず、自社スタジオから生放送しているというのは有名です。私も勉強のため、スタジオ見学に行きたいと思ったほど衝撃を受けたのを覚えています(笑)

そんなジャパネットたかたは過去に二度、前年対比の売り上げをわざと伸ばさないことがありました。急激に伸ばすと、受注が取れなかったり、配送が間に合わなかったりと、ひずみが出てくるからだそうです。つまり、目先の売り上げより、顧客満足度を優先したわけですね。

以前、顧客情報の流出問題がありましたが、その迅速で誠意ある対応は今でも語り草になっているほどです。信頼のおける企業のひとつであるということは間違いないと思います。