代理出産ビジネスと売春婦

以前放送されたマイケル・サンデル教授のハーバード白熱教室という番組の中のエピソードです。

テーマは「お金で買えるもの買えないもの」でした。

マイケル・サンデル教授がテーマにそって番組を進行していくわけですが、その中でインドの妊娠代行サービスについての議論がありました。

インドでは妊娠代行サービスを国が推進しているので、代理出産が法律で規制されている国の人々は、インドのこのサービスに頼るケースも多いようです。費用は約7千ドルだそうです。

子宮を貸し出すインド人女性は、その報酬を資金に起業する人が多いようです。インドの平均年収と比べると報酬もかなり高額なので。

さて、白熱教室に戻りますが、とても印象に残ったひとりの女生徒がおりました。

彼女は妊娠代行と売春のサービスは同じだと言っていたのです。

会場では、妊娠代行は困っている人を助ける行為で、売春はそうではないという意見もありました。
ですが、彼女は自分の身体の一部を提供して、誰かに喜びを与え、その報酬としてお金をもらうというのはどちらも同じだと言っていました。

確かにそう考えるとどちらも立派なビジネスだと思います。

例えば、売春婦だって妊娠代行サービスと同様に10ヶ月限定で仕事をして、その資金で起業しても良いわけです。
というか、そもそもの問題点は身体の一部を提供してお金をもらうというのが道徳的にどうなのかということなのでしょうけど。

みなさんはどう思われるでしょうか。

個人的には、そのことを議論するなら資本主義とは何かという問題になると思います。そして、資本主義の世の中なら需要と供給のバランスが成り立つなら売買は自由であるべきだと考えます。

そのあたりのところは、ミルトン・フリードマンの「資本主義と自由」を読んでいただくと良いかもしれません。小泉元総理の郵政民営化などもこの本に影響を受けたと思われます。どこまで国や地域に頼っていくのかという問題についても言及しています。

先日、日本では厚生労働省がレバ刺しの提供を禁止するというニュースがありました。賢いお役人さんにも、ぜひ、この本を読んでいただいて、資本主義の世の中では規制することよりも大切なことがあるという考え方も取り入れて欲しいと思います。

ミルトン・フリードマンはさらに、免許制度もいらないと言っています。医師免許ですらいらないと言っているのです。資本主義を追求していくと、個人がどんどん自由になる代わりに責任も大きくなるということです。資本主義を否定するなら、社会主義の国や地域に移住するのも個人の自由なのではないでしょうか。

なんだか重くなってきたので、マイケル・サンデル教授に戻ります。

私が初めて彼を知ったのは、「これからの「正義」の話をしよう」という本でした。ですが、本より映像(ハーバード白熱教室)のほうがずっと良いと思います。生の授業はもっと良いでしょうけどね。

彼のすごいところは場をコーディネートする能力です。すなわち、生徒やゲストからいろいろな意見を引き出し、それをまとめる能力です。

結局、この回は、ジャパネットたかたの高田社長から、生まれてくる赤ちゃんの立場になって、赤ちゃんが幸せになる世の中にするべきだというような意見を引き出して、うまくまとめておりました。

例えば、会社などで役員や上司しか意見が言えない会議もあると思いますが、それではただの報告会になってしまいます。これからのリーダーに必要なのは、その場にいる人々の個性を理解し、いろいろな意見を引き出し、場をコーディネートする彼のような能力なのです。テレビ番組で人気のあるMCなども同じですね。

マイケル・サンデル教授は授業で答えを出しません。そもそも哲学的なむずかしい内容なので、正解も不正解もないのだと思います。重要なのは、あらゆる問題について真剣に考え、いろいろと勉強し、自分なりの意見をしっかりと持つことだと思います。

妊娠代行と売春は同じサービスだと言った彼女のように。

ちなみに、「お金で買えないものは、ひとの気持ち」というのが、現時点での私の意見です。○○○○万円払うから僕のことを好きになってくださいと言っても、無理なものは無理でしょうから(>_<)

逆に○○○○万円払うから結婚してくださいという申し出を万が一受け入れてくれる人がいたら、それは家族をお金で買うということでしょうか・・・。でも基本的に結婚すれば資産は二人のものだし・・・。

確かに、お祝いやら何やらで「ほんの気持ち」をお金にすることはありますが、それはコミュニケーションの手段だと思います。

いろいろと考えるべき問題は尽きません(^_^;)