坂本群馬がもうじき40歳を向えようとしていた頃。
近い将来に訪れるであろう、プロバイダー戦国時代の準備を着々と進めていた。この頃になると日常の実務は社員に任せていたので、群馬は比較的自由に動くことができた。まずは、M&Aで、プロバイダー事業を手入れるという段階からのスタートだった。そこで、高い技術力をもちながらも、売上げが伸びていない会社を選定した。そして、コンタクトをとって、会いにいくという作業を繰返したが、なかなかいいパートナーが見つからない。
また、企業買収ともなると、資本もそれなりに必要になる。オモパロスも少しずつ蓄えができていたが、まだまだ足りない。そこで、株を使って、資本を集めることにした。1株10万で、新株を発行することにしたのだ。これから来る時代の概要。その中で、戦国時代の台風の目になることを説明してまわった。こうして、株を買ってくれそうな投資家探しも同時に進行していた。
群馬が目指すのは、日本一安くて、安心なプロバイダーである。文無し群ちゃんの時代、経費を削減して、キャッシュフローの支出を極限まで減らすという経験をしていたので、妙な自信があった。文無し時代も無駄ではなかっということだ。
「ビジネスはSSR」
群馬はよく言っていた。ストーリー、サプライズ、リーズナブルの頭文字をとったものである。今回のビジネスで説明すると、ストーリーとは、「日本一安くて、安心なプロバイダーを作る」という志しのもとに、人が集まり、会社が動き、商品・サービスが生まれるという物語のことだ。これをやらずに、金儲けに走ると、長続きしないものなのである。ビジネスにおいては、もっとも重要な部分だ。
サプライズとは、顧客を驚かせるということである。ちょっとしたテクニック的な要素も含むが、良くも悪くも人はビックリすると他人に話したくなる。それが、口コミで広がりを見せるのだ。群馬もいろいろなサプライズを日々考えていた。
リーズナブルとは、いいものを安く提供することである。もちろん、これには、ありとあらゆる企業努力が必要だ。群馬は、ビジネスに関わるものがすべて満足するような仕組み作りを徹底させた。(誰かが、泣きをみるようなことがあれば、いずれ、歪みが生まれ、足元をすくわれる)ということをいつもに頭の片隅に置いていたのだ。同時に、いい商品・サービスを極限まで、安く提供することを常に心掛けていた。
このSSRは、後のアカデミアでもいつも話しているほど、時が経っても色あせることのないビジネスの基本である。
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