一流と超一流

イチローの守備を支えてきた「名人」が2008年の3月いっぱいで現役を引退しました。

「名人」とは、日米200人以上のプロ野球選手のグラブを作ってきたミズノの坪田信義さん(当時75)です。

イチローのグラブも1994年から作っていました。

基本リクエストは、「軽く、柔らかく、良く開く」の3点だそうです。

グラブにこだわりのあるイチローは5ミリ単位で注文を出し、「名人」はそれに応えて5ミリ単位のマイナーチェンジを毎年繰り返してきました。

そんな信頼関係がオリックスで7年連続、マリナーズでも7年連続(当時)というゴールドグラブ賞受賞へとつながっています。

試合中、エラーをした選手がグラブをたたいて、道具のせいにするしぐさを見かけるときはグラブ職人としてつらい瞬間だそうです。

ですが、イチローのあるシーンを見て名人はこう語っています。
「外野からベンチに戻ると、グラブを放ったりせず、必ず、きちんと置くんです。うれしいですね」

超一流の選手は道具にあったたりぜず、大切に扱っているんですね。

こんな話もあります。

ある日本の自動車会社の会長の話です。

会長は部屋を汚さない男としてアメリカのホテル業界で有名でした。

ホテルを出るときに散らかして出て行くのは、悪いことではないし、ほとんどの人はそうだと思います。

ですが、この会長はタオルをきちんとたたんだり、ベッドを直したり、洗面台をティッシュで拭いたりして部屋をきれいにしてから出て行くそうです。

アメリカ人の金持ちでは考えられません。

会長が宿泊した後はつねに部屋がきれいになっているので、担当のメイドさんは感激して、自分が乗っていた車をアメリカ車から日本車に買い換えたそうです。

超一流の人はやはりどこか違いますね。

話しを戻すと、「名人」坪田さんは現在、自宅で野球選手のサインや一緒に撮った写真を整理する日々を送っているそうです。