ヤマダ電機がケーズ提訴した真の目的とは

家電量販店大手のヤマダ電機(群馬県高崎市)が、消費者満足度ランキングに関する雑誌記事コピーの配布によって営業を妨害されたとして、「ケーズデンキ」を展開するケーズホールディングス(水戸市)を相手取り、5500万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしたことがわかった。

ケーズ側は21日の第1回口頭弁論で争う姿勢を示した。

問題となったのは、2010年7月に「日経ビジネス」に掲載された特集記事。アフターサービスの満足度に関するアンケート調査で、ケーズデンキが1位だったのに対し、ヤマダ電機は14社中の最下位とされた。

ヤマダ電機は訴状で、ケーズ側が同年8月から1年間、店舗を訪れた客にこの記事のコピーを配布したと主張。「ヤマダ電機のサービスが著しく劣っていると誤認させるもので違法だ」などとしている。

ケーズホールディングスは「記事コピーの配布は問題ないと考えており、全面的に争う」としている。

以下は上記のニュースに関する個人的な感想です。

法律の専門家ではないので、あくまで任侠的な視点から。

まず、ケーズホールディングスのいうように記事のコピー配布は問題ないでしょう。

ヤマダ電機としても、それくらいの認識はあるでしょうし、5500万円の損害賠償など、どうでもいいのかもしれません。

ただ、ケーズホールディングスのやり口を世に知らしめるために、騒いでいるのだと思います。

自社の1位をアピールしたいだけなら何の問題もありませんが、もし、ヤマダ電機のサービスが著しく劣っているということも含めて配布したのであれば、ケーズホールディングスのやり方は美しくありません。

例え法律がどうであろうと。

これで、ひとときの売り上げは良くなるかもしれませんが、長期的な戦略を考えると、自分の首をしめているようなものです。

また、確かに、その時期のヤマダ電機の消費者満足度は低かったのかもしれませんが、現在は改善しているため、時期を見計らって騒いでいるのかもしれません。

そうすることで、消費者は逆に、満足度に差がないのに、ケーズはひどいことをすると思うはずです。

つまり、日本人の好きな判官贔屓(ほうがんびいき)を演出して消費者を取り戻す作戦です。

判官贔屓とは弱いものの見方をすることなので、実は敗訴した方がより効果的なのです。

結局、今回の件は金額も微妙ですし、結果がどうであれ、ここへきて騒ぎだしているヤマダ電機の戦略が一枚上手だと考えます。

また、目先の利益も大切ですが、美しいかそうでないかということが、もっと重要な判断基準なのだと改めて実感しました。

最後にもうひとつ言いたいことは、他社との競争をしているヒマがあったら、もっと、お客様のためを想った接客を身に着ける努力をするべきではないか、ということです。

ちなみに、消費者満足度ランキングNo.1の家電量販店は、個人的にはヨドバシカメラがずば抜けていると思います。

ぜひ、業界全体が切磋琢磨し、消費者満足度を高めて欲しいです。