スガシカオ アイタイ 歌詞の感想

歌詞はこちらをご覧ください。

スガシカオ『アイタイ』の歌詞

まず、スガシカオというアーティストのバックボーンを少し説明したいと思います。

彼は、2011年、インディーズに下野した、脱サラアーティストです。

2011年下野したわけですから、事務所との話し合いは、その前からされていて、2010年の段階で、時代の変化を彼は感じ取って行動に移していた、ということになります。

基本的に天才的なアーティストというのは、その優れた感性で時代を読んで創っています。だから、その動きや作品には注目するべきなのです。
なので、実はスガさんの曲をほとんど知らないのですが、彼には何となく共感し、その後の動きに注目しておりました。

そんな彼が事務所から独立する際、事務所の社長はこんなことを言っていました。

「プロダクションやメーカーに依存するのではなく、アーティスト自らが発信して行くという、そんな新しいビジネス・モデルともいえる開拓への彼の固い意志です」

時代の流れとともに、誰しもが、自分を自由に表現して発信できるようになりました。全員がアーティスになれるわけではありませんが、誰しもがアーティストになれる可能性があるということです。スガさんはそういうことを事務所社長に告げて去ったのだと思います。

スガシカオという人は面白い経歴の持ち主で、そもそも30歳くらいで脱サラして歌手になりました。

そんなスガさんは、独立にあたって自身のブログでこんなことを書いていました。

「いまはさ、CD売れないとか音楽冬の時代とか言っちゃって、ついつい萎縮してしまいがちだけど、可能性のあるとこに飛び込まなきゃ、今より上には飛び出せないじゃない?」

つまり、これからの時代を生きるのに必要なものは、想像力と向上心だということです。

常に自分の殻を破ろうとし、外の世界を想像し、その可能性に賭け、努力し、飛び込み、飛びだす。

こういう人は、大成功するかどうかはわからないですが、少なくとも、時代に淘汰されることはありません。

いつでも自分の足で歩く訓練と覚悟ができているので。

華やかに見える芸能界ですが、伝統をとても重視しているので、革命を起こすことはとても大変です。

なので、スガさんのこの決断が、どれだけのものであったか、私のような凡人には想像すらできません。

だからこそ、彼は片耳の聴力を失ってしまいました。

サラリーマンを辞めて歌手になった時には失わなかった聴力を事務所を辞めるだけで失うという事実が、芸能界という場所を部分的にですが、象徴しているように思います。

今は、辛い治療の末、だいぶ回復したらしいですが、それでも、聴力を失うほどのものすごいストレスがあったわけです。

しかし、彼はそれを受け止め、乗り越え、会場のブッキングも自分でやり、チケットはネットと手売りで捌き、全国ツアーもやりました。

そんな、男スガシカオの2年ぶりのシングルがこの「アイタイ」という曲です。この2年間の彼の生きざまがよく、表現されいると思います。

「自分の性器 すごくキライ あなたに血が付きそうで」などという表現にはドキッとしますね。

「あなた以外 誰一人 心に直接キスできた人なんていない」心や魂に直接キスできる人なんて、そうはいないと思います。

もしも、そんな人と巡り逢うことができたなら、そこがアートの世界の入口なのかもしれません。

アイタイという曲の歌詞の感想というよりも、まずは実際に聴いて、スガシカオという天才的なアーティストを感じて欲しい一曲です。