天命とログポースと進むべき道

ログポース(記録指針)とはアニメ、ワンピースの中で、グランドラインを航海するために必要な特殊コンパスのことである。

ワンピースという物語をただの子どものマンガだと考えている方も多いようだが、実は生きていく上で重要なメッセージがとてもたくさん含まれていると考える。

子どもから大人まで、ファン層が厚いのは、そのためだろう。

ログポースのシステムなどは、まさに人が天命を受けて、人生を航海するようなものではないだろうか。ログポースが物語に登場した時に、ものすごい衝撃を受けたことを覚えている。

万が一のことを考え、知らない人のために簡単に説明すると、グランドラインを航海するためには、いくつかの決まったルートがあり、次に向かうべき島を指し示すのがログポースということになる。

到着した島では、次に目指すべき島を指し示すためのログがたまるまで、ある程度の時間が必要なのだが、この間に様々な問題が発生し、それを解決することによって登場人物たちは成長していく。

人生も似たようなものではないだろうか。

例えば、投資家になって金儲けをしたい人がいたとする。そして、いきなり、一攫千金を目指して、たいした知識もなく、よくわからない株に投資したとしよう。この場合、たいていは失敗するだろう。

ルフィがいきなりワンピースを目指して、ログポースにも従わず航海したなら、あっというまに沈んでしまうのと同じことだ。

目的地へ到達するには、必ず通らなくてはいけないポイントというものがある。それを指し示すのが天命であり、ログポースなのである。そこで努力し、乗り越えた時、また次へ向かう場所が指示される。

これを繰り返しているうちに、本来の目的地に近づいていくのではないだろうか。

先ほどの投資家で言うなら、まずは株や為替など、世の中を仕組みを理解し、一生懸命働いて、または一生懸命知恵を絞って、投資のための圧倒的な余剰資金を確保しなくてはいけない。それがやっと投資家のスタートラインというものである。それから、より良き世の中にするために、頑張って欲しい企業やビジネスなどに投資するわけである。また、人によっては不動産への投資もあるだろう。

どういう目的地があって、どういう道を通るのかは人それぞれだと思う。

だが、みんながログポースを持っていて、それぞれに進むべき道が天命として、(宇宙の)どこかから届いているはずなのだ。

作者(尾田栄一郎)にどのような真意があるのかはわからないが、少なくともログポースが登場した時、私は以上のようなメッセージを感じた。

現在、アニメでは、魚人島からグランドラインの後半部分である新世界へ突入する。

新世界では今までのログポースは使えなくなり、針が三つついている新しいタイプを利用する。

行く先は三つの中から選べるということだ。その中で、針の動きが激しいほど行く先の危険度も増すことになる。当然、ルフィは自ら一番危険な場所へ行くことを望んでいる。

確かに、どうせ同じ目的地を目指すなら、危険な島を通ってきた人のほうが、より貴重な経験をして、自らの能力もアップしているので、結局は有利になるのではないかと思ったりする。

だが、わかってはいても、あえて危険を冒して困難な道を進むのは、なかなか難しい。

人生も似たようなもので、ある程度のところまでは、針が一つのログポースでも進めるが、その先は新しいログポースが必要になる気がしている。

というのも、私自身がそんな時期にきているのを感じるのだ。今までは天命のようなものを感じ、それを頼りに進んでいた部分もあったのだが、ある時期(到達地)から「これだ」というほど強いものを感じなくなってしまった。

これは、その到達地の先の目標がぼやけてしまったからかもしれなし、針が三つの新しいログポースになり、進むべき道もいくつか与えられているので、わかりずらくなったのかもしれない。そうであるなら、次の目的地をさらに明確にイメージし、先に進むのであれば、その道は天命+自分の選択で決めなくてはいけないのではないかと考え始めている。

ルフィのように、一番針が激しく動いている場所へ行くと決めてしまえば、それはそれで悩みの種がひとつ減ると思うのだが、現実世界ではそう単純でもない。

いずれにしても、せっかく生まれてきたのだから、良き世の中にするために、困難な道を楽しめるような人間を目指したいものである。

ちなみに、「無駄はない」ということを常に意識すると、天命を感じやすくなる。幸も不幸も含め、なぜ自分にこのようなことが起こったのかと自問自答していくと、天が導く進むべき道が見えてくるのだ。また、別の言い方をすると、偶然は必然だということを意識していると、天命を感じることがある。少なくとも、ある時期までの私はそうであった。

ただ、多くの人が言うように、そもそもワンピースは絶大な人気を誇るただの子どものマンガなのかもしれない。また、天命など、ただの夢物語なのかもれない。私自身そう思うこともある。次に進むべき道がぼやけてしまったときなどは、特にそうだ。

だが、大事なことは、やはりストーリーにあるのだと信じたい。

多くのワンピースファンの中で、この記事に共感してくれる人が一人でもいたなら幸いである。そんな人の役に立つことを願いつつ、また機会があれば、ワンピースのストーリーに込められた、重要なメッセージを紹介していきたいと思う。

最後に説教臭くなって恐縮だが、特に大きな組織の一員として働いている人の中には、進むべき道は自分で決めるものでなく、組織が決めるものだと考えている方もいるかもしれない。

果たしてそうなのだろうか。日本の組織は上に行けば行くほどバカになると昔から言われているのも事実である。

そもそも、他力本願な人はこんな記事など興味もなく、ここに辿りつくこともないと思うが、万が一辿りついてしまたったら、騙されたと思って一度ワンピースという物語に触れてみてはいかがだろうか。

海軍という大きな組織にも魅力的な人物は存在するし、もしも、得るものがなかったとしても、子どもたちとの共通の話題として会話が少し増えるかもしれない。