前回のみそ汁から引き続き、発酵食品シリーズです。
そもそも発酵とは、微生物の働きで元の食材の成分が分解され、人間に有益な形に変化することです。発酵食品は元の食材に比べて栄養価が高く、消化吸収が良いのが特徴です。
その代表格である納豆は、大豆を納豆菌で発酵させています。大豆自体、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどが豊富で、コレステロール低下や動脈硬化予防、老化抑制といった効能で知られていますが、ビタミンKやビタミンB2は発酵によって、大豆の何十倍にも増えるのです。ビタミンKは、カルシウムが骨に結合するのを促すので、骨祖しょう症の予防が期待できます。ビタミンB2は代謝や成長に重要です。
納豆菌は、腸内で有害な菌の発生を防いでくれます。納豆菌が作り出す酵素のナットウキナーゼは、血栓を溶かす作用があり、脳梗塞や心筋梗塞の予防に効果があります。血圧の正常化を促す酵素も見つかっています。
ただし、ナットウキナーゼは熱に弱い酵素です。効果を期待するなら加熱処理をしないで召し上がるのが良いでしょう。
また、日本人に不足しがちなカルシウムを効率的に取るにはヨーグルトが有効です。
牛乳を乳酸菌で発酵させたもので、たんぱく質やカルシムを豊富に含む牛乳の栄養成分を受け継いでいます。発酵で消化吸収が良くなっているので、高齢者や妊産婦、子どもには、特にお勧めです。
カルシウムの一部は、溶けやすい乳酸カルシウムになっていて、吸収率が高まっています。たんぱく質の一部も、分子の小さいアミノ酸やペプチドに分解されています。しかも半固形状のため、胃にとどまる時間が液体より長く、それだけ消化されやすくなります。
乳酸菌の効能のうち、整腸作用はよく知られています。腸内でビフィズス菌などの善玉菌の増殖を助け、悪玉菌が増えるのを抑えます。腸内環境が整えば便通がよくなるため、健康だけでなく美容にも役立ちます。
さらに、最近注目されているのは、がんやインフルエンザの予防・抑制効果です。明治乳業食機能科学研究所では、特定の乳酸菌が、がん細胞などを殺すNK細胞を活性化させて、免疫力を強めることを証明しています。
ブルガリアでは、ヨーグルトを料理の材料や調味料としても活用しています。ヨーグルトに同量の大根おろし、少々のおろしニンニクを合わせたソースやザルに乗せて水切りしたヨーグルトをクリームチーズ代わりにしたりと工夫次第で使い道は広がりそうです。