森林の何が癒しの効果を引き出すのか?
注目されているのは、フィトンチッドという樹木が拡散する化学物質です。本来、樹木に有害な生物を遠ざけるための物質ですが、人間をリラックスさせる効果があることが分かってきました。
50?100種類の化学物の集まりであるフィトンチッドは、樹木の種類によって、成分や量が異なります。放散が最も多いのはトドマツで、一般に、スギやヒノキなどの針葉樹の方が、ブナなどの広葉樹より揮発成分が多く、香りが高いといわれています。
森林総合研究所の大平さんによると、フィトンチッドの放散量は季節によって異なり、気温が高くなる5月ごろに急激に増えはじめ、6月から8月にかけてピークを迎えるそうです。夜間にくらべて、昼間は量が少なく、雨上がりなど湿度が高い環境の方が、拡散が活発になります。朝もやの早朝、森林の散歩が気持ち良いのは、このフィトンチッドの放散に関係しているかもしれません。
森林の中でフィトンチッドの濃度が最も高いのは、地表から40センチ付近です。大平さんは「フィトンチッドの面からも、ベンチに座ったり、寝転んで読書をしたりするのは、効果的」と話しています。
小川のせせらぎや、鳥の鳴き声、足元から伝わる土の感触など、森林では、様々な要素が人間の五感を刺激します。
森林総合研究所では、こうした五感への働きかけが生理的にどうんな影響を与えるか検証し、森林の種類によって癒しや免疫機能向上の効果がどう異なるのか調べているそうです。
緑豊かな公園などでも充分なフィトンチッドが計測されていますので、近所の公園でも森林セラピーは可能です。
散歩のついでに試してみてはいかがでしょう。
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