福島県立医科大整形外科教授の紺野さんは「腰痛の原因、あるいは悪化させる要因として精神的ストレスは見逃せない」と指摘します。
紺野さんらが20?70歳代の4500人を対象に行った調査では、喫煙本数同様、ストレスが増すほど腰痛に悩んでいる割合が高かったのです。腰痛の手術を受ける患者には抑うつや不安を訴える傾向があります。
同大学病院では、腰痛の患者に簡便な問診票でストレスチェックをしています。(下記参照)「心理的な影響あり」と判断されると、腰痛の治療と同時にカウンセリングなども行われます。腰痛が長引く場合、適度な運動や気持ちを通じ合える家族や職場の仲間との交流も大切です。周囲の人の理解も求められます。
紺野さんは、「完治しづらい腰痛を抱えた人が職場にいた時は、仕事の負担を減らすなどの配慮も欲しい」と強調しています。
ストレスのほかにも意外な腰痛の原因があります。足に合わない靴を履いている時です。東京厚生年金病院リハビリテーション室技師長の田中さんは「靴のサイズは長さだけではなく、足の幅も気にかけてほしい。広い足幅の靴を履くと、衝撃を和らげる足の横アーチ(湾曲)がつぶれて、前のめりになり、腰痛になりやすい。合った靴を」と語っています。
腰痛の改善は日常生活の中のちょっとした工夫にあることを忘れないようにしましょう。
例えば、重い荷物を持ち上げる時は、ひざを曲げて荷物を体に近づけてから作業するのがコツです。足の筋肉をうまく使いましょう。また、顔を洗う時やせきをする時など、慣れた行動をする時も油断をすると腰に無理な負担がかかります。日常生活でのちょっとした気づかいが、「ぎっくり腰」対策にもつながります。
ぎっくり腰は魔女の一撃と呼ばれることもありますが、実は日頃の腰への負担の積み重ねなのです。
ストレス具合のチェックシート
□泣きたくなったり泣いたりする
□いつもみじめな気持ちで浮かない
□いつも緊張していらいらしている
□ちょっとしたことでも腹が立つ
□食欲がなくなる
□1日で朝が一番気分が良いというわけではない
□何となく疲れる
□仕事ができなくなることがある
□睡眠に満足できないときがある
□痛み以外の理由で寝付きが悪い
※5項目以上は要注意
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