現在の日本は資本主義です。
人々がある程度自由にモノを売買しています。原則としては、その価値にお互いが納得した時に、資本(お金)と商品やサービスの交換が成り立つわけですね。
そこで、モノを売る側は、売買を成立させるため、買う側、すなわち、消費者の心理をある程度理解しなくてはいけません。
まず重要なのが消費者は常に「不安」だということです。
この商品は大丈夫なのだろうか?
名も知れない会社の商品だけど大丈夫だろうか?
こんなに高い商品だけど、それだけの価値があるのだろうか?
と、いろいろ不安なんです。
皆さんがスーパーへ買い物へ行ったとします。
そろそろスイカが売り場に並び始めました。
ひとつ買っていこうかなと思っています。
コンコンと叩いたて中身を確かめたことありませんか?
これが、消費者の心理です。
叩いたって普通の人には中身がどうなっているか分かりません。
でも、とりあえず叩くのです。
それは、不安を自分なりに解消するひとつの手段なのです。
または、家電販売店へ行ったとします。
ハードディスクレコーダーを買いにいきました。
ほとんど、性能は同じでパナソニックとシャープとあとは名の知れないメーカーのものがありました。
値段は、パナソニックとシャープのものは同じくらいです。
もうひとつのメーカーのものは、かなり安い価格設定になっています。
この場合、多くの人はパナソニックかシャープのものを買っていくでしょうね。
名の知れないメーカーの商品は安くても不安だからです。
これも消費者の心理なんです。
もうひとつの消費者の心理は「不便」を解消したいということです。
例えば、キャンプ用品などでも、火をおこすのが不便だから、簡易ガスコンロが売れるわけです。
パソコンソフトなども、今まではかなりの労力がかかる作業をプラグインソフトですぐにできるとなれば、そのプラグインソフトは売れるわけです。
消費者に消費してもらうには、「不安」と「不便」を取り除けばいいわけですね。
具体的には、コースを用意するのも効果的な方法のひとつです。
まずは、「松竹梅」の3つのコースを用意します。
上級者コース、中級者コース、初心者コースという具合です。
すると消費者は、買わされるという心理がうすれてきます。
自分で選ぶことができるからですね。
これは、「不安」を取り除くひとつの手段です。
例えば、ベッドを販売する場合ですと、マットレスの種類で松竹梅を用意します。ボンネルコイルマットレス(梅)、ポケットコイルマットレス(竹)、国産ポケットコイルマットレス(松)という具合に。
お客様は、この中から、値段と品質の両面から納得したものを購入できます。選択肢がひとつしかなかった場合、買わされると感じるかもしれませんが、「三つの中から選べますよ」と言われると自分で選んで買うという感覚に変わるわけです。
もちろん、三つ以上でも構いませんが、あまり多すぎるとお客様が迷ってしまい、購入を諦めてしまう場合もあるので、ご注意ください。
皆さんも、日常生活では消費者なわけですから、買い物をする時の自分の心理を客観的に見るくせをつけるといいと思います。
いろいろ気づく点も多いはずです。
ちなみに、「おまけ」とは勝ち負けの負けのことです。
「消費者は弱い立場なんだから、販売者のあなたが負けてよ」というところから「おまけ」となったそうです。
このような消費者の心理を理解した上で、商品の価値をどうのように伝えるのかとうことも重要になってきます。
まず、単純に資本主義の世の中は価値/価格(価格分の価値)なのです。
50円が安くて10万円が高いというわけではないのです。
例えば、たまごが10個150円のものと200円のものがあるとします。
この時50円高いだけで、どっちにするか悩みます。
この場合、50円は高いという心理から悩むことになるのです。
また、マイホームを建てる時、10万円のオプションを即決で追加したりします。
この場合は、10万円でも安いという心理状態です。
値段が例えいくらであろうともその価値が伝われば購入するということです。
ちょっと古い話しになりますが、ソフトバンクがボーダフォンを買収しました。
その金額は約一兆円です。(こうなると何億も誤差の範囲です)
それだけの価値が伝われば、資本(お金)は動くのです。
その後、孫正義さん率いるソフトバンクはドコモやauに遅れをとった分を急速に取り戻し、ビジネスを軌道にのせました。
逆に言えば、もし、商品やサービスが売れないと悩んでいる方は、一度その価値を見直してみたほうがいいかもしれません。ただ、欲をかいて高い値段なっているのかもしれませんし、もしかしたら、「こんなにいいモノがこんなに安いの 」と消費者が不安を感じている場合だってあるかもしれません。
なぜ、その値段で提供しているのかという企業努力と商品価値をストーリーとして伝えられたらベストですね。
先ほどのたまごの話しに戻ると、50円高いからには、それなりの理由があるはずです。
栄養分が豊富にあるとか、めずらしいニワトリのたまごだとか。
その50円の価値が伝われば200円のたまごが売れるということです。
これからは高齢化社会です。こういった付加価値の高い健康食材は、ビジネスチャンスがかくれていそうですね。
ちなみに、モノが作られて消費者まで届く一般的な流れを表すと、M(製造業者)⇒W(卸売業者)⇒R(小売業者)⇒C(消費者)となります。
Maker⇒Wholesaler⇒
Retailer⇒Consumer
を略したものです。
業界や業種でさまざまだと思いますが、ざっくりと平均した場合、消費者が100円で買う商品は、卸売業者が60円でメーカーから仕入れ、小売業者は75円で仕入れるという感じです。
大手の家電量販店などは、大量に仕入れるため、あとでメーカーからマージンが支払われるので、三割四割引きとかでも販売できるわけです。
最近では、MWRCにもいろいろな形態がでてきました。
例えば、Wholesalerが直接小売りをしたり、力のあるRetailerがプライベートブランドを製造販売したり。
ですが、やっぱり基本のMWRCという流れを忘れてはいけないということと、取引企業を出し抜いて自社の利益だけを上げようという考えはやめたほうが良いと思います。出し抜かれた企業からさらなる報復を受ける可能性もあるわけですから。
やはり、ビジネスは関わるすべての人々がWIN-WIN-WIN-WINであるべきです。
また、近年では小さなネットショップがドロップシッピングというビジネスモデルを取り入れています。
ドロップシッピングについて少し説明すると、商品在庫の保管や発送はWholesalerが行ってくれるので、Retailerであるネットショップは販売に専念できるのです。
商品が売れたら、Wholesalerへ注文をだし、Consumerへ直接配送してもらいます。なので、Retailerは商品画像や説明文を仕入れるのみです。余計な物流も抑えられるので、商品もリーズナブルな価格でお届けできるというわけです。各メーカーとしても新たな販路が広がるので大きなメリットとなります。
まさに、力のあるWholesalerが構築したネット時代の新たなWIN-WIN-WIN-WINビジネスモデルだと思います。
アフィリエイトとドロップシッピングの違いは、Retailerの信用度だと思います。アフィリエイトならサイトだけで良いのですが、ドロップシッピングはきちんとしたショップをもたないと成り立ちません。また、アフィリエイトサイトは広告にも制限があるので、ビジネスとして軌道にのせるのは、むしろ難しいと思います。
最後に消費者心理をまとめると、消費者の不便と不安を取り除く努力(商品やサービスの企画・開発・制作・製造)と、商品の価値を消費者に伝える努力(販売・物流)が実って、価値/価格(価格分の価値)が伝わった時、初めてモノが売れる。つまりお金が動くということですね。
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