大事な場面で緊張している人に、よくこんな言葉がかけられます。「肩の力を抜いて!」。無駄な力を抜いてリラックスできれば、心身ともに元気になれる気がします。ですが、いざやってみると意外と難しいので、ちょっとしたコツをご紹介します。
東邦大医療センター大森病院の心療内科では、ストレスによる体の不調に悩む「心身症」の診療しています。講師の端詰さんによると、体のこりや張り、特に肩こりを訴える患者が多いそうです。
人間は、身の危険や大きなストレスに直面すると、自律神経の働きで一時的に血液を全身に行き渡らせ、筋肉を緊張させます。狩猟生活だった太古の昔から身につけた、重要な体の働きです。
しかし、現代社会で慢性的なストレスにさらされ、逃げ場がないと、筋肉は緊張し続け、血流は減少、体のこりが生じます。さらに自律神経のバランスが大きく崩れると、心身症になってしまいます。
「こうした人の多くは、力の抜き方が分からないようです」と端詰さんは話します。そこでお勧めなのが、「筋弛緩法」です。
やり方は簡単で、「首、肩、腕、足など、体の各部位で力をギューッと入れ、だらんと抜く」というものです。緊張している感覚と力が抜けた感覚、その落差を味わってみてください。気に入った部位だけでも毎日数回練習すれば、体の緊張に気づいた時に上手に力を抜けるようになってきます。
また、偏頭痛患者10人に、筋弛緩法と、首の筋電図と手の指の皮膚温の変化を見ながらリラックスのコツをつかむ「バイオフィードバック療法」を行った結果、何も行わなかった患者7人より頭痛の症状が改善したそうです。
端詰さんは筋弛緩法について「通勤電車など、どこでもできるのがいい。ただ、首を痛めている時は無理しないで」と助言しています。
筋弛緩法の例
【腕】
- 楽な姿勢でいすに座り、両手を太ももの上に置く。両手のこぶしを握りしめ、どんどんきつく握る。こぶし、腕、体全体の緊張を意識する。時間は呼吸3?4回分ほど。
- だらんと力を抜きく。腕や手、指先から力が抜けていき、筋肉が緩む感覚を感じる。
【首や肩】
- 両肩をすくめるように上げ、腕を曲げてこぶしを握る。肩から胸を狭めるように力を入れ、緊張を意識。心の中で5秒数える。
- 両肩をおろして、力を抜く。
※時計やベルトなど体を締め付けるものは、なるべく外す。力の強さは最大7?8割。
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