座禅や古武道などでは、へそ下の下腹部にある「丹田(たんでん)」が元気の源とされています。そこで、丹田呼吸法について調べてみました。
一般的な腹式呼吸とは逆に、丹田呼吸法では息をはく時に腹を膨らませます。ですが、慣れないと腹全体に余計な力入り、脳梗塞や内臓下垂などを起こしかねません。そこで、丹田呼吸法について詳しい調和道協会では、へそ上数センチは力が抜けて横にしわが寄り、下腹部に力が入った「上虚下実(じょうきょかじつ)」を理想としています。仏像の美しいあのおなかの形をイメージして頂ければいいかと思います。
上虚下実を誰でも安全に作れるように工夫されたのが、丹田呼吸法です。その中で最も基本的な「波浪息一段(はろうそくいちだん)」です。(イラスト参照)
この呼吸法では、胸式と複式の呼吸を一連の動作で行って最大限に息を吸い、はく時に上体を倒すことで自然と下腹部だけに力が入ります。その際、はく息を短めにすると、新鮮な酸素が早く全身に行き渡って元気がわき、逆に長めにすると副交感神経が優位に働いてリラックスできるそうです。
調和道協会常務理事の桜井さんは、「『息』は『自らの心のありよう』と書くが、心の健康は呼吸を自在にコントロールできないと保てない。さらに心と身体の健康は相互に作用している」と話しています。
【波浪息一段の実践】
<注意点>
イスに浅く腰掛け、両足を床につける。正座では、つま先同士を重ね、その上にお尻を下ろす。いずれも両ひざを少し開く。
<手順>
- 左手をみぞおちに当て、右手で下腹部をかかえるようにして上体を30度倒す。
- 身体を起こしながら、丹田に空気を入れる気持ちで息を吸う。
- 身体が垂直に近づいたら背筋を伸ばし、胸で息をいっぱいに吸う
- 肩の力を抜き、伸ばした背筋を戻しながら息を少しはく。へその上の力は抜く。
- 上体をへその上で曲げて倒しながら息をはききる。元気を出すには短め、リラックスするには長めにゆっくりとはく。
- 以上の動作を12回、さらに1の手を逆にして12回繰り返す。
また、気功では、へその下にある下丹田(しもたんでん)、胸の中心にある中丹田(ちゅうたんでん)、脳の中にある上丹田(じょうたんでん)の三つの丹田にわけれます。
上丹田
インスピレーション・直感・ひらめき・想像力・企画力・記憶力など、あらゆる知慧の宝庫。
中丹田
愛情・優しさ・思いやり・一体感・協調性・社交性など、あらゆる人間関係を司る。
下丹田
体力・気力・バイタリティー・不動心・決断力・自主独立性・経済力・セクシャリティーなどを生み出す。
通常気功では下丹田、中丹田、上丹田の順番で鍛えます。別の言い方をすると「体」と「心」と「魂」をバランスよく鍛える必要があるということですね。
詳しくはこちらが参考になると思います。気功に興味があるけど、何から始めたら良いかわからないという方におすすめです。